何を怖がってるの?
「わかりません。この部屋にあるもの以外は全部です」
生きている意味は?
「そんなの考えたことありません。今の自分が攻撃されずに呼吸をすることで精一杯です」
将来の夢は?
「それもありません。先ほども言ったように、今の自分を守ることで精一杯です」
楽しみは?
「誰にも攻撃されずに無事に1日を終えて眠ることでしょうか」
攻撃されるとどうなるの?
「最初は何が起こったかわからず狼狽えるだけです。怖くて、体が震えて冷たくなって、感覚が抜け落ちていきます。その後に悲しい気持ちが体に膜を張るように覆い被さって、何も受け入れたくなくなります」
いつまでそうしてるつもり?
「出来る限りずっとです。攻撃される可能性があるから誰とも関わらずに終わりがくるまでやり過ごしたいです」
ゾンビ映画で最後に生き残った人間みたい。
「そうですね。襲われる恐ろしさを感じないので、出来るなら一番初めにゾンビになりたかったです」
具体的には誰に攻撃されるの?
「……。分かりません。漠然と、自分以外の誰かです」
具体的に答えられないなら、実際は攻撃してくる人なんていないんじゃない?
「そんなはずありません。実際に、何回もなじられました。不意打ちのように襲ってくるので避けようもありません。絶対にいます」
考え方次第なんじゃないの?
「考え方がどうであろうと攻撃されたら恐怖であることには変わりありません。怖いのでもう確かめたくもありません」
「部屋の窓から外見てみなよ」
「嫌ですよ」
「いいから、ほら」
「うわ、眩し……、え?」
「とっくに誰もいないのに、何を怖がってるの?もう確かめようもないよ。たった1人生き残って、それで何を怖がれるの?」
「……。」
「望み通り誰からも攻撃されない世界が手に入ったのに、そんなに暗い顔するんだ。本当はどうしたいの?」
「……、…………。」
肌が泡立つ感覚だけが残っていて、汗だくで飛び起きた。今日は久しぶりに外に出かけてみようと思う。
